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音盤紹介:アモワイエルによるショパン「1846年、ノアンでの最後の年」

公開日: : 音楽のこと

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パスカル・アモワイヤル(アモイヤル)というピアニストがいます。
最近、アルカンのピアノ曲集をリリース、
ほんの少し話題になりましたが、
日本ではあまり有名なピアニストではありません。
ベートーヴェンやシューベルトはまだ録音していないようですし…。
でも、ショパンやリストの非常に優れた録音があります。

店長がパスカル・アモワイヤルを知ったのは、
ショパン/夜想曲全集でした。
フランスのCALLIOPEからのリリースで、
録音も大変良かったのですが、
CALLIOPEは2011年に業務を停止してしまったようで、
CALLIOPEの一部の録音は別レーベルからディストリビュートされています。
ただ、アモワイヤルのショパン/夜想曲全集は、
まだディストリビュートされていないようですが。

アモワイヤルは超絶技巧で有名なジョルジュ・シフラの弟子で、
いろいろな録音を聞くと、
師匠譲りの非常に高度な技巧を身につけていることが分かります。
しかし、「音楽を成立させる」ということでは、
同じリストの楽曲を聞いても、
シフラとアモワイヤルではかなり異なり、
アモワイヤルのピアノはインティメートで、
非常に繊細な音を聞かせてくれます。

今回取り上げるのは、
CALLIOPEではなく、HARMONIA MUNDIの録音です。
「1846年、ノアンでの最後の年」
と題されたアルバムです。
ショパンはジョルジュ・サンドと愛人関係にありましたが、
そのジョルジュ・サンドと過ごした、
最後の年に作曲された楽曲を集めてあります。
「舟歌」op.60から始まり、
3つのマズルカ op.63(第1番ロ長調、第2番ヘ短調、第3番嬰ハ短調)
チェロ・ソナタ ト短調 op.65
ワルツ op.64(第1番変ニ長調、第2番嬰ハ短調、第3番変イ長調)
マズルカ イ短調 op.67-4
2つのノクターン op.62(第1番ロ長調、第2番ホ長調)
という、ショパン最盛期の楽曲が収録されています。
チェロ・ソナタのチェロは、
アモワイヤルの奥さんでもあるエマニュエル・ベルトランで、
ベルトランのチェロも非常に素晴らしく、
大変、聞き応えのあるアルバムになっています。

演奏も素晴らしいですが、
なにより録音された音が素晴らしく(録音は2014年6月)、
やれハイレゾだ、SACDだという議論がむなしくなるほどです。
でも、新しいメディアのフォーマットやどのように音が変わるのか、
それはそれで興味津々なのですが…。

蒸し暑い夏の夜、
「1846年、ノアンでの最後の年」で、
おもいっきりロマンティックでインティメートな気分に浸るのも、
悪くないですね。

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