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音盤紹介:クナッパーツブッシュによる「ニーベルンクの指環56,57,58BOX

公開日: : 音楽のこと

kna_ring

ワーグナーの楽劇4部作「ニーベルンクの指環」は、
今でこそ録音が増え、
どれを聞こうか悩むほどですが、
以前は、それほど多くの録音には出会えませんでした。
やはり、セッション録音ではゲオルグ・ショルティのDECCA盤が最初で、
ヘルベルト・フォン・カラヤン盤が後に続きました。
ショルティ盤は、
キャストもさることながら録音も優秀で、
今でも「レコード業界の金字塔」と言われ、
まあ、これさえ持っていれば不自由しないセットでもあります。

その後、「ニーベルンクの指環」のライヴ録音が増えました。
オペラのセッション録音は日数や費用がかなり嵩むため、
ライヴ録音が主流になったのはごく当然かも知れません。
特に、ワーグナーのオペラは長いですし...。
さらに、インターネットの普及で、
オンデマンドで聞けたり、
海外のインターネットラジオや映像で、
リアルタイムの放送もあるようです。

店長はオンデマンドでの視聴は残念ながらあまりできませんが、
知人や友人に助けられて、
ごくたまにですが、聞くことがあります。
また、古い録音のCD化もあれこれと入手、
「へ~」とか「ほ~」とか感心しながら聞いています。

でも、「ニーベルンクの指環」ということになると、
セッション録音よりも音の条件は悪いですが、
やはり、ハンス・クナッパーツブッシュの、
1956年から1958年にかけての、
バイロイトにおける3年間の記録は外すことはできません。
キャストも凄いものがあります。

20年程前までは、
クナッパーツブッシュの「ニーベルンクの指環」3年分の記録は、
音の悪いLPやCDしかなく、
1956年盤では欠落だらけでノイズの中から音楽が聞こえるというレコード、
1957年盤では楽劇によってものすごいナローレンジで、
「ジークフリート」第1幕に欠落のあるレコード、
1958年盤ではスピーカーの前に厚手の布をかぶせたような音のCD...
などなどで、ファンはそれでも、
我慢をしながらありがたく聞いていました。

それが一気に変わったのが、
ミュンヘン・ハンス・クナッパーツブッシュ協会会長の、
故フランツ・ブラウン氏が絡んだ、
GOLDEN MELODRAM(元祖イタリアのMELODRAMとは別レーベルです)の、
各年をセットにした、極めて優秀な音質、欠落なしでのCDリリースでした。
その後、WALHALLというレーベルで、
よりくっきりした音でのリリースが続きます。

そして、
さらに「ここまでやるか!」というセットが、
Veniasというレーベルからリリースされました。
「Hans Knappertsbusch The Collection Vol.2」という、
1956年、1957年、1958年すべての「ニーベルンクの指環」を含んだセットです。
Vol.1は「パルジファル」12年分のセットという、
極めて特殊なボックスでしたから、
ファンにはとてつもなく嬉しい企画ではあるものの、
同じオペラが12セットというのは、
あまりに特殊すぎて取り上げにくかったのですが、
「ニーベルンクの指環」3年分は、
「これぞ、ニーベルンクの指環」の決定盤!
ともいえる威容を誇っています。
なんせ、CD42枚組ですので、
聞くのにも根性がいりますが、
「パルジファル」12年分よりも、
同じオペラは3つずつ、
それも、各年でキャストが異なったりしますので、
時間がある時に順番に聞いてゆけばよい、
という嬉しいBOXではあります。

店長は残念ながら、
まだ42枚の全部は聞けていないのですが(^^;、
つまみ聞きしたところでは、
音も非常によく、
GOLDEN MELODRAM盤とWALHALL盤のちょうど間のような、
非常に具合のいい音がします。
1956年盤はORFEOから正規盤が出ていますが、
このVenias盤の方が不満は少ないかもしれません。
今まで、各年ごとのセットよりも、
Venias盤3年分がほぼ同じくらいか、
レーベルによっては半額くらいの価格で買えてしまうのですから、
大歓迎!の方もおられると思います。
ブックレットは付いていないですが。

クナッパーツブッシュは、
この翌年、1959年に当時の東ベルリンであった、
ベルリン国立歌劇場(リンデン・オーパー)に客演、
「ニーベルンクの指環」チクルスを指揮しています。
チクルスの合間のコンサート記録はCD化されたことはあるのですが、
チクルスそのものは、まだ、どこからもリリースされたことがありません。
クナッパーツブッシュの最後の「ニーベルンクの指環」チクルスが、
どこかに放送録音でも残っていないものか、
どこかのレーベルがその記録を発見してリリースしてくれないものか、
店長は首を長くして待っているのでありました。
見つからないかな~...。

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