音盤紹介:クナッパーツブッシュによる1960年「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
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        音楽のこと                
      
1月も半ばになってしまいましたが、
皆さん、年初に聞く音楽には、
どのようなものを選択されていますでしょうか?
店長は、
昨年は違いましたが、
例年、ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲を聞きます。
ストーリーは頭に入っていますので、
他のことをやりながら、ということも多いですが、
今年は、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を、
対訳を読みながら聞きました。
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭歌劇場の、
1960年ライヴ録音がORFEOから正規リリースされたから、
というのが大きな理由です。
ミュンヘンでは、
戦前、戦後、現在を通じて
1月1日に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が演奏された、
という記録が多く、
それでは自分も...という単純な理由によります。
ドイツ人には嬉しいオペラなんでしょう。
1月6日公顕の日は「パルジファル」なのですが、
残念ながら、日本では平日にはなかなか聞けないですね。
長いですし。
クナッパーツブッシュの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲は、
DECCAのセッション録音を含め、
今まで4種類の録音がCDになっています。
その中で最強の演奏録音は1952年のバイロイトライヴだと思っていましたが、
今度、ORFEOから出た1960年盤はモノラルながら音が大変よく、
以前出ていたレーベルのCDの音とは格段の差になっていますので、
現在での最強の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、
この1960年盤かもしれません。
スピーカーの前の紗を取り払ったような明瞭な音で、
歌手の息遣いまで聞こえるようです。
さらに、以前のレーベルのCDは音抜けがありましたが、
それもありません。
ハンス・ザックスを歌うヨーゼフ・グラインドルは、
他の歌手によるハンス・ザックスが物足りなくなるくらい、はまっています。
ワルター・ストルツィングをウォルフガング・ウィントガッセンが歌い、
これもまた素晴らしいです。
そして何より凄いのが、
ウィルヘルム・ピッツ合唱指揮の合唱団、
クナッパーツブッシュの音楽の創り方です。
テンポはゆったりとしていますが、
歌手の歌に音によるドラマと齟齬を起こさせない自然さは、
クナッパーツブッシュならではです。
ライヴですから舞台上の暗騒音も盛大ですが、
臨場感のある生きたオペラのライヴ録音を聞くことができます。
さらに第3幕、徒弟たちの踊りの前後の部分、
バンタで金管楽器が鳴りますが、
そのバラバラ具合は祝祭に相応しい立体感をもたらしています。
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は長いですが、
聞き所も多くあり、また悲劇ではありません。
大変、面白いオペラですので、
まだ全曲を聞かれたことのない方には、
是非盤でお勧めします。
なお、ジャケットのカラー写真は、
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」冒頭、聖カタリーナ教会の内部の場面です。
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