音盤紹介:クライバーによるベートーヴェン/交響曲第4番
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音楽のこと
ベートーヴェン/交響曲第4番は、
第3番「エロイカ」と第5番の間に挟まれ、
表題もなく、長い間地味な印象のある交響曲でした。
「谷間の百合」とか「北欧神話のふたりの巨人に挟まれたギリシアの乙女」などと呼ばれ、
聞いたことのない人には、
優し気な楽曲なのか?
と、錯覚しそうでした。
実際には激しさを持ったマッチョマン的といってもいい音楽です。
その地味な印象のあった交響曲第4番を、
一気にメジャーな存在にしてしまった演奏録音があります。
カルロス・クライバーがバイエルン国立管弦楽団を指揮した、
1982年カール・ベーム追悼演奏会のライヴ録音です。
コンサートでは第4番、第7番が演奏されました。
カルロス・クライバー盤は、
最初、ORFEOのLPで発売され、
国内発売の帯(国内発売は輸入盤に帯がついていました)の文言は、
「ここでカルロス火を吹いた!」という、
勇ましいものでした。
実際に聞いてみると、
「谷間の百合」や「ギリシャの乙女」なんて面影はなく(アマゾネスなら…^^;)、
第1楽章から第4楽章まで、
早いテンポでぐいぐい音楽を引っ張ってゆきます。
その勢いはかなりすさまじいもので、
音楽がまるで生きているように聞こえます。
店長には、
フルトヴェングラーやクレンペラーの同曲の演奏録音は、
クライバー盤を聞いて再度聞き直し、
初めてその真価が分かったようなところがあります。
クライバー盤にはものすごい勢いはあるけど、
スケール感はそれほどでもないとか、
内声部がダンゴになって聞こえるとか...。
やっぱりフルトヴェングラーやクレンペラーは凄かった...てな。
でも、それでクライバー盤の価値が下がるわけではありません。
やはり一期一会のコンサートのライヴ録音ですから、
このような超が付く名演の記録は、
もの凄く大きな価値があります。
心身が疲れて、
何かカンフル剤が欲しい...というときに、
クライバー盤ベートーヴェン/交響曲第4番は、
大きな効果を発揮します。
聞いていて、夢中になっている自分を発見します。
もうひとつ面白いのは、
クライバー盤はCDも購入したのですが、
CDに入っている20KHzという、
周波数特性の上限を超えて聞こえるように工夫した機器、
例えば、FIDELIXのアコースティックハーモネーターとか、
PIONEERの
レガートリングコンバーションシステムの付いたCDプレーヤーでこのCDを聞くと、
内声部がダンゴという状態を抜け出して、
豊かに中域が膨らんで倍音豊かに内声部が充実して聞こえた、
てな経験でしょうか。
もう、だいぶ前の話になってしまいましたが(^^;。
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