音盤紹介:クレンペラーによるモーツァルト/交響曲第25番
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音楽のこと
モーツァルトは、
ロココ時代という時代の要請から、
明るく楽しい楽曲をいっぱい作曲しました。
中には中間楽章で哀愁を感じる楽曲もありますが、
激しく暗いというほどではありません。
しかし、
ただ単に明るく楽しい楽曲ばかりを作曲していたのかというと、
器楽曲にしろ管弦楽曲にしろ、
ベートーヴェンやその後のロマン派を準備するような、
激しく暗い楽曲も作曲しています。
そのひとつが、交響曲第25番の第1楽章です。
交響曲第25番はト短調で書かれ、
第40番もト短調であることから、
二つのト短調交響曲と呼ばれることもあります。
大ト短調(第40番)とか、小ト短調(第25番)という呼び方もあるようです。
交響曲第25番第1楽章は、
緊張感と切迫感を持って激しく鳴り響きます。
映画「アマデウス」の冒頭、
サリエリが自殺未遂で血だらけになった衝撃的な映像に
交響曲第25番第1楽章の音楽が被り、
タイトルロールにつながって行きますので、
映画をご覧になった方は、「ああ、あのときの音楽か」と、
記憶がよみがえってくるかもしれませんね。
モーツァルト/交響曲第25番はいろいろと聞いていましたが、
その激しい緊張感を初めて感じたのは、
1950年、オットー・クレンペラー指揮ベルリンRIAS交響楽団のライヴ録音でした。
クレンペラー盤はEMIに録音した後期交響曲集のCDもすでに持っていましたが、
組み物の悲しさ、いつか聞くだろうと、
そのままになっていたのですが、
ベルリンRIAS交響楽団盤を聞いて俄然関心がわき、
EMIのセッション録音をきいて驚きました。
ベルリンRIAS交響楽団盤よりも、
さらに厳しく緊張する音楽になっていました。
1656年の録音ですから、今にして思えばかなり古いです。
でも、その疾走するような厳しく緊張する音楽は、
第25番ではクレンペラー盤が今まで聞いた中で最も凄いです。
店長の持っているクレンペラーのモーツァルト後期交響曲集は、
中古以外ではすでに入手できませんが、
最近、EMIの廉価盤ボックスでリリースされています。
クレンペラーのモーツァルトは、
割とそっけなさを最初に感じますので、
聞いてすぐにその凄さが理解できる、
というものではありませんが、
聞く都度に新たな発見ができ、
その凄さが徐々に分かるようなところがあります。
何回も聞くことのできる選集ですので、
持っていても損はないと思います。
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