音盤紹介:ショルティによるベートーヴェン/交響曲第5番
ハンガリーで生まれたゲオルグ・ショルティは、
つい最近亡くなったような印象があったのですが、
没年が1997年ですから、
すでに18年が経っているのですね。
そのことに気がついて、
少なからずショックを受けています。
ショルティを初めて聞いたのは、
1958年に録音されたウィーン・フィルとの、
ベートーヴェン/交響曲第5番でした。
LP2枚が入った世界名曲大全集にショルティ盤が収録されていて、
まだ中学生か高校生の頃、そのレコードで初めて聞きました。
ベートーヴェン/交響曲第5番って、
今でもみんな聞いているんだろうか?
当時、ショルティは、
レコード業界の金字塔といわれる、
ワーグナー/「ニーベルングの指環」全曲録音が進行中で、
プロデューサーは同じジョン・カルーショーが担当、
「ニーベルングの指環」録音の合間に、
ベートーヴェンの交響曲では第3番「エロイカ」、第5番、第7番が収録されました。
残念ながら交響曲全集には発展せず、
ウィーン・フィルのステレオ録音での初のベートーヴェン交響曲全集は、
後年、ハンス・シュミット=イッセルシュテットの指揮で録音されました。
この頃のショルティは、
強烈にオーケストラをドライヴしたことから、
楽団員から恨みを買っており、
「ショルティのやろう、絞め殺してやりたい」と、
物騒なことを陰で言われていたという記事を眼にしたことがあります。
最初の「運命」のモットーから強烈です。
DECCAの古い録音は、
チェロの松脂が飛ぶような凄い音がする、
といわれたものですが、
最初のジャジャジャジャーンからバリバリと強烈な音がして、
これぞ「運命」か、
凄い音がするものだ、
と、子供心に思ったものでした。
1958年はショルティ46歳で、
非常に若々しくオーケストラを引っ張ってゆきます。
ショルティは後にシカゴ交響楽団の音楽監督に就任、
鳴りにくいホールで目いっぱいオーケストラを鳴らした、
と、円熟とは少し遠い位置で語られることが多いですが、
晩年のいくつかの録音を聞くと、
オーケストラをドライヴするというより、
より柔らかで自然体の演奏になっています。
若い頃のショルティは、
セッション録音とは言え、
暑苦しいくらいに熱気に溢れた演奏を聞かせてくれています。
ベートーヴェン/交響曲第5番にはさまざまな演奏が可能で、
古楽器でのさわやかともいえる演奏から、
老指揮者の渋い演奏録音まで、
あるいは、
ブーレーズの機械仕掛けのような第1楽章の演奏から、
フルトヴェングラーの1947年ライヴのような怒涛の演奏まで、
大きな振幅の中で聞くことが可能です。
その中でも、
ショルティ若かりし頃の交響曲第5番は、
思いっきりオーケストラをドライヴしている快感、
また、録音年代の割りに音も優秀ですので、
聞く人によっては、
かなりよいポジションが確保できる演奏録音ではないかと思っています。
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