音盤紹介:Mythos盤フルトヴェングラーによるベートーヴェン/交響曲第5番
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音楽のこと
ウィルヘルム・フルトヴェングラーはいまだに人気が高く、
同じ音源が様々なレーベルからリリースされています。
「ウラニアのエロイカ」で超有名になった、
1944年12月19,20日(たぶん19日)の、
ベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」は、
一体いくつのレーベルからリリースされたのでしょうか?
実は、ネット上にフルトヴェングラーに関してのいくつもの専門サイトがあり、
全レーベルのLPやCDを収集されている方もおられるようです。
凄いですね。
そのフルトヴェングラーの有名な録音に、
1947年5月27日の第2次大戦後、
非ナチ化裁判で無罪になったフルトヴェングラーの、
ベルリン・フィルへの復活コンサートの録音があります。
実際には、5月25日から29日まで同一プログラムでのコンサートがあり
(28日はコンサートはありませんでした)、
25日の復活コンサート初日の録音も残っていますので、
同じコンサートシリーズで2種類の録音が残っていることになります。
交響曲第5番の他、「エグモント」序曲、交響曲第6番「田園」も演奏されていますが、
27日は第5番と「エグモント」序曲のみ聞くことができます。
ただ、27日は当時のベルリン・フィルのコンサート会場であった
映画館ティタニア・パラスト
(フィルハーモニー・ザールは空襲で破壊されたままでした)、ではなく、
「ベルリンのイギリス占領地区にあるソ連管轄の放送局」に聴衆を入れたライヴ録音、
であるそうです。
ということは正式なコンサート記録ではないということでしょうか?
フルトヴェングラーの5月27日放送局で行われたライヴ録音は、
昔から名盤として有名で、
ドイツ・グラモフォンからLPでリリースされ、
以後、CDでも再発され続けています。
LPからの板起こしCD(CDR)もいろいろなレーベルから出ているようで、
それぞれ音が異なり、
「何を聞いたらよいのか?」はなかなか難しいようです。
店長はドイツ・グラモフォンのLPとCDで、今まで聞いてきました。
ただ、残念ながら今まで満足できたことはありませんでした。
そこへ、たまたまMythosというアメリカの板起こしレーベルのCDを入手、
聞いてみてその音の凄さに驚きました。
自分の貧弱なレコードプレーヤーやカートリッジとは、
次元の違う音がします。
店長はMythosというレーベルをかなり古くから知っており、
注文生産のような古い録音のCDR化を、
クナッパーツブッシュのものなら、
大概持っています。
ものすごく高価で、泣きながら(- -;購入しました。
今回入手したフルトヴェングラーのMythos盤は、
CDRではなく、数年前に通常のCDでリリースされたものです。
Mythosの実際はよくわかりませんが、
アメリカの超レコードマニアが私的に古い録音のLPをCDR化、
最初は友人の依頼で頒布していたものが発展してレーベル化した、
ということになっています。
これまでクナッパーツブッシュの復刻をCDRで聞いてきましたが、
LP特有のピチパチノイズやサーフェズノイズはあるものの、
のけぞるほどすごい音が収録されているものも数多くあります。
今回のフルトヴェングラーも凄い音でした。
音圧レベルを上げてCD化してありますので、
余計にそう感じるのかもしれません。
この演奏録音はMythosのCDもさることながら、
第5番も「エグモント」序曲も、演奏自体がすごいです。
第5番自体が昔と異なり、
今、それほど頻繁に聞かれているのか分かりませんが、
フルトヴェングラーの体質と音楽が合っているためか、
劇的で、まるで生きているような音楽を聞くことができます。
第5番は、フルトヴェングラーの最後のアチェレランドが、
生きている楽曲でもあります。
LPからの板起こしは、
失敗している例も数多く聞いてきていることから、
店長はその全部に肯首できませんが、
こういう成功例を聞いてみると、
他にも食指が伸びそうで恐いですね(^^;;;;。
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