音盤紹介:クナッパーツブッシュによるベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」
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音楽のこと
3月末に風邪を引き、
気温がなかなか上がらなかったことから、
ずっとその風邪を引きずったままです。
そのため、ブログの更新やあれこれ、
なかなかままなりませんでした。
今日4月16日の阪神地方は、
ずいぶんと暖かいので助かります。
風邪を引いてしまうと、
なかなか音楽を聞こうとは思えないですね。
それでもめげずにいろいろと聞いていましたが、
店長お気に入りの指揮者、
ハンス・クナッパーツブッシュの
1953年12月17日、ミュンヘン・フィルとの
ベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」ライヴ録音を聞き、
はやり、これが一番だなぁ…、
と、思い直しました。
店長にとって、
今まで数多くの指揮者、オーケストラで聞いてきた、
「エロイカ」の最高の演奏録音です。
クナッパーツブッシュのベートーヴェンは、
一部にワーグナー風と悪口をいわれたりしますが、
元々、ベートーヴェンが「エロイカ」を作曲した頃、
どういう響きであったのか分からないわけですから、
店長には一向に気になりません。
現在聞ける古楽器オーケストラでの演奏も、
「多分こういう響きだっただろう」という想像の枠を出ません。
むしろ、しっかり三つに振られた第1楽章冒頭から、
柔らかく滔々と大河が流れるような音楽、
悲しみの連鎖が爆発してゆくような、
第2楽章「葬送行進曲」のフーガなどを聞くと、
これがワーグナー風であろうがなかろうが、
どちらでもいいではないか?
という気にさせられてしまいます。
この「エロイカ」に感動できなければ、
きっと不感症です。
ワーグナーはベートーヴェン研究の第一人者でもありましたし…。
1953年は、
クナッパーツブッシュ65歳でした。
1951年に第2次世界大戦後復活したバイロイト祝祭音楽祭の指揮者に、
ヘルベルト・フォン・カラヤンとともに抜擢され、
初年度からクナッパーツブッシュ、カラヤンとも、
新生バイロイトの演出方法に対する不満や、
レコード会社の思惑が絡んで波乱含みでしたが、
1953年は、ふたりとも結局バイロイトと決別してしまった年です。
クナッパーツブッシュは翌1954年にはバイロイトに復帰しますが、
カラヤンはついに戻りませんでした。
クナッパーツブッシュは頑固者であったそうです。
でも、どこか柔らか味を残した頑固者で、
口も悪かったそうですが、
頭の先からつま先まで紳士で、
悪口雑言もユーモアとして周りから捉えられていたようです。
愛すべき頑固親父だったといってもいいと思います。
その、クナッパーツブッシュの「柔らかな頑固者」という性格は、
この「エロイカ」からも聞こえてきます。
ハンス・クナッパーツブッシュに関しては、
店長は個人的な研究課題にしていて、
http://www.kna-club.com
に、その生涯をまとめてあります。
もうまもなく、新しい資料がありますので更新予定です。
「楽天 店長の部屋Plus」では外部リンクが張れませんので、
Yahoo!やGoogleなどで「kna-club.com」で検索してください。
今日も聞こう…クナッパーツブッシュの「エロイカ」。
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